Q.私もそろそろ遺言をしたためようかと考えています。公証役場に行って作成する公正証書遺言と、自分で書く自筆証書遺言とでは、法的な効力に違いがあるのですか?

A.法的効力には違いはありません。

遺言書が公正証書遺言でも自筆証書遺言でも、法的効力は同じです。

両者の違いは、作成手順や要件、相続手続きを行うときの家庭裁判所の検認の有無などです。

しかし、遺言内容を確実に相続人に伝え、実行してもらうには、公正証書遺言がお勧めです。

自筆証書遺言よりも公正証書遺言をお勧めする理由は、次の通りです。

<公正証書遺言のメリット>

●法律のプロである公証人が関与するため、形式の不備による遺言の無効がまずない

●公証役場が遺言の原本を保管するため、紛失や改ざんの危険性が極めて少ない

●遺言に書きたい内容を公証人に伝えればよく、字が書けなくても作成できる

●遺言者が亡くなった後に、遺言を家庭裁判所に持っていく必要がなく、すぐ手続きに入れる

<自筆証書遺言のデメリット>

●遺言の書き方を少しでも間違えると無効になる

●紛失、改ざんの恐れがある

●遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で遺言の検認を受ける必要があり、手続きに時間がかかる

●「自筆」が要件なので、字を書けない状態では作成不可能

欧米では遺言書を書くことはとても一般的なことのようですが、

日本では遺言書にあまり馴染みがなく、書くことに抵抗を感じる方も少なくはありません。

そのような中で、せっかく重い腰を上げて作成した遺言書なのに、形式的な不備が原因で法的に無効になってしまうことはできれば避けたいところです。

そのような点で、遺言書を書く場合には、公正証書遺言をお勧めすることが多いです。