事例紹介

換価分割で登記の名義人と譲渡所得の申告者の数が違う場合

お客様の悩み・状況

被相続人は長女で、相続人は第三順位の長男の子3人(姪)と、次女、次男、三女の6人であった。相続した不動産は将来売却することを前提に、遺産分割協議の方法は換価分割とした。しかしながら譲渡所得の申告は簡便性の見地から登記名義人が次女のみであったため、次女のみが申告を行った。譲渡価格は2,100万円であり、空き家の3,000万円特別控除の適用を受けたので、譲渡所得税は0であった。

遺産分割協議書に従い、代金を各相続人間で分けた場合、贈与税が問題になるではないか、譲渡所得税の申告を登記名義人が次女のみであったため、次女のみが行ったが代金を取得した全員の申告が必要だったのではと疑問がわいてきた。

※換価分割・・遺産を売却して現金化し、その現金を各相続人間で分ける遺産分割方法。遺産分割協議書には「換価分割である旨」「換価代金の取得割合」等を明記する。相続登記は「換価代金の取得割合に応じた共有名義で相続登記」又は「売却手続きの便宜上、相続人のうち代表者1人の単独名義で相続登記」のどちらかになるが、実際には後者のケースが多い。譲渡所得の申告は換価代金を取得する相続人全員が申告するのが原則。

 

解決内容

贈与税、譲渡所得の申告に関して国税庁に照会したところ、贈与税については共同相続人のうち1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が換価分割の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありませんとの回答が出されている。

譲渡所得の申告に関しては原則として換価代金を取得する全員の申告が必要である。今回、譲渡価額が2,100万円で空き家の3,000万円の特別控除内であったため、代表相続人1人が申告しても全員が申告しても所得税は変わらないため、特に修正申告等はしなかったが、もし3,000万円の特別控除が1億円未満、例えば9,000万円で譲渡した場合には、1人で申告すると 9,000万円-3,000万円=6,000万円が課税対象となるが、全員で申告すると 3,000万円×6人=1億8,000万円までは譲渡所得税がかからないこととなるため、税額が変わることとなる。このように特別控除等の適用を受ける場合には、全員の譲渡所得の申告が必要となることに注意が必要である。

 

 

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